2019年11月13日水曜日

靴磨き趣味

 

 自分にとって靴磨きはシャツにアイロンをかけることのようなものだったのだが、その靴磨きが一つの趣味として確立されていることを知って実に興味深かった。確かに趣味的要素に満ちていて、絵画を描いたりするような創作活動に通じるものがある。よほどマニアでもない限りアイロンがけが趣味になるかは疑問だが、靴磨きには趣味となりえる理由があると思う。

 靴磨きを趣味として楽しむ要素として、そこで用いられる様々なアイテムの存在は欠かせない。中でもクリームやワックスは趣味人の心を刺激する。東急ハンズの靴磨きコーナーにずらりと並ぶ各ブランドのカラフルな瓶や缶を見ているだけで欲しくなってしまう人は少なくないだろう。

 サフィールのビーズワックスクリームなんて色数が72色もある。全部揃えようという殊勝な人はあまりいないだろうけれど、それでも心惹かれるではないか。学生時代に絵画の勉強をしていたときに、画材屋で持っていない色の絵の具を買うのは一つの楽しみだった。そのほとんどは実験のようにキャンバスで色の確認をしただけで画材入れの中に埋もれ、やがてチューブの中で固まってしまって使えなくなってしまったが…。趣味にはそんな無駄な要素が付きものなのである。

 とはいえ、無駄は避けたいというのがこのブログの本来の趣旨。靴クリームなんて油性で顔料が入ったクレム1925と、水性で染料が入ったシュークリームジャーがあれば、それで問題無いはず。今後生涯、自分の靴磨きはそれで事足りるし、そこで無駄遣いをしなければ残りの人生で手に入る本格革靴の数が少々増えるだろう…その方がいい。

 理屈ではすでに悟りの境地に近いぐらいに、どうすれば良いのかに気付いているし、そうすることは可能である。でも、絶対にそれが無理なことに気付いているのは私だけではないだろう。

2019年11月12日火曜日

新しい革靴を履く前に

 新しい革靴を履く前にプレメンテナンスをしましょう。

 …と、革靴のことを書いたサイトを見ると、どこにでも書かれています。在庫時に乾燥しちゃってるから、デリケートクリームで水分を与えて、クリームで油分を与えて…云々…。これは「普通以上の趣味嗜好の領域」の話だと思っていました。

 しかし、そうではなくプレメンテナンスは必要です。

 自分の経験から言うと、美しい皺を作らなきゃ…というような趣味の領域ではないなら、多くの場合は不要ですが、時として悲惨なことになるので、保険としてプレメンテナンスは絶対にやっておいた方が良い…ということになります。

 実際、以前はプレメンテナンスなんてしないで、靴箱の中に転がっている使い古した父親の靴ブラシでササッと擦る程度で、新品の靴を下ろしていたものでした。そして、それで特に問題を感じたことはありませんでした。

 写真の靴はスコッチグレインのアシュランス。いい歳だしスーツを着たときに、ちゃんとした靴を履かなきゃな…と、伊勢丹の靴売り場で購入したもの。恥ずかしながら、ストレートチップの靴を意識して買ったのは、このときが初めてでした。アシュランスという品名を知ったのも買ってしばらく過ぎてから。確か3万円ぐらいだったのですが、高いとは思わなかったものの安いとも思えず、いろんな靴を試着して、いちばん履き心地が良いものを選んだ記憶があります。

 実はこのとき同じ型の靴を3足まとめて購入しました。スタンダードなストレートチップで革底のものと雨用にゴム底のもの、そして写真のパンチドキャップトゥ。仕事のときに履くので、所有している他の革靴と合わせてローテーションするのに3足は必要だろうと思ったからです。

 スタンダードなストレートチップ2足は何の問題もなく履き下ろせました。今思えば在庫時からの保存状態が若干良かったのかもしれません。しかしこのパンチドキャップトゥを履いたとき、嫌な感じで甲の革が折れました。折れ曲がったではなく、まさにバキッと折れた感じです。他の2足と比べて明らかに違う深い皺が入り、その皺の部分に腰(弾力)が無い…。革靴の皺の入り具合なんてものに全く無頓着だった当時の自分が見ても、これは明らかに良くないな…と感じるものでした。おそらくは将来的にここにひび割れが入ったりしてしまうのだろうということを確信させるもので、見た目もイマイチに見えました。なんかやってしまった…という失敗感を強く感じたことを覚えています。

 その後、新しい革靴を下ろす前には、必ずクリームを塗って履くときも気をつけて履くようになりました。たまたまかもしれませんが、それ以降のどの靴も比較的キメの細かい皺が入っていますし、革の弾力も失われていません。

 革というのは、そんなにヤワな物ではないので、多少の雑な扱いには応じてくれるのですが、運が悪いと時々、残念なことになってしまうのです。クリームを塗っておくだけで、それを防げるのなら、そうした方が良いに決まっています。

 やり方はいろんな人がいろいろ書いてますので、それを見ればよいでしょう。革に潤いを与えて柔軟性や弾力がある状態にすれば良いのです。おそらくどの方法でも問題無いと思います。自分が言えることは、とにかくプレメンテナンスをやっておいた方が、事故があったときに致命傷にならず救われるということです。

 これぐらいの靴なら、買ったときに店の人が軽くクリームをつけてブラッシングぐらいはしてくれることが多いはずなので、箱から出したときはイイ感じで艶があったりします。でも、革の内部がどうなっているかは分かりません。

 忘れないように。プレメンテナンスは必要です。

2019年11月11日月曜日

備忘録1

 最近物忘れが酷い。この調子でいくとそう遠くない将来、認知症になってしまうのではないかという不安が過る。でもそれは、なるならなるし、ならないならならない。自分ではどうしようもない。

 しかしながら、同じミスを繰り返すという学習能力の低さは如何ともし難いところだと思う。欲深い人間なので、ミニマリストには到底なれないし、なろうとも思わないのだが、金や時間のあきらかな無駄遣いを、経験の為・学習の為…と言うには、残りの人生は短すぎる。

 何万円も払って買った靴が数足、箱に入ったまま一度も履かれずに戸棚の奥に埋もれていた。箱から出してみると、樹脂部分が酸化したのか加水分解したのかボロボロになっていた。それらの履かずに駄目にしてしまった靴の購入金額があれば、ALDENでもTricker'sでも買えてしまう…。残された時間、そんな失敗を繰り返さず有意義に道楽を…楽しめるかどうかの記録とする。

靴磨き趣味

   自分にとって靴磨きはシャツにアイロンをかけることのようなものだったのだが、その靴磨きが一つの趣味として確立されていることを知って実に興味深かった。確かに趣味的要素に満ちていて、絵画を描いたりするような創作活動に通じるものがある。よほどマニアでもない限りア...